今や海外FX全体で流れているECN推しの風潮。
「ウチではECN方式の取引ができますよ!」みたいな感じで、宣伝されているのを目にした方も多いと思います。
ただ海外FX業者にはECN方式とは別の口座もありますよね。
多くの海外FXブローカーのスタンダード口座はSTP方式という仕組みで注文が処理されています。
2つの注文方式がどのような違いがあるのか、ちゃんと理解している人はそんなにいないんじゃないでしょうか。
そこでECN方式とSTP方式にスポットライトをあてて、注文処理の違いをどこよりもわかりやすく解説することにしました。
ただ注文方式の仕組みの違いがわかっただけではあまり得るものがありません。
トレーダーの方が本当に知りたいのは「じゃあ注文方式が違うと何が変わるの?」ってことのはず。
ということで、具体的にECN方式とSTP方式で海外FX取引がどう変わるのかということまで踏み込んでいます。
さらに「どっちの注文方式で取引した方が都合がいいのか」について、管理人の考えも述べているので参考にしていただけると幸いです。
Contents
海外FXのECN方式とSTP方式の注文処理の仕組み!より透明性があるのはECN方式!
前提としてSTP方式・ECN方式どちらもNDD(ノーリーディング・ディスク)方式です。
NDD方式の下では海外FXブローカーは「トレーダーの注文が成立するフィールド」を提供しているだけ。
注文が成立するサポートをしているにすぎないので、トレーダーにとって不利になる環境ではありません。→NDD方式の海外FXは勝ちやすい?国内FXで勝てないのはOTC(DD)方式が原因だった?!
ただその中でもより透明性が高い取引ができるのがECN方式です。
ECN方式→トレーダーの注文がブローカーを経由せずに、ネットワーク上で自動マッチング
STP方式→トレーダーの注文がブローカーを経由して、ブローカーが注文の行き先を決める(※)
※ブローカーの意図とは関係なく、システムで自動処理される
STP方式は「システムで自動処理される」とはいっても、いったんブローカーに注文が届くことになります。
注文がインターバンク直結のECN方式なら「もしかしてブローカーの意図で注文を操作してるんじゃない??」と疑う余地がありません。
ECN方式はブローカー経由なしで直接注文が届く
ECN方式ではトレーダーの注文はブローカーを経由せずに、直で電子取引ネットワーク(インターバンク)に流されます。
大手金融機関やヘッジファンド、機関投資家が出した大量の注文が集まる場所
注文を出したトレーダー・金融機関の両方が得するようなレートで約定されるように、注文がオークション形式で自動マッチングします。
【オークション形式で自動マッチングを詳しく解説】
(例)ドル円100円でトレーダーが買い注文を出した場合
- ヘッジファンドA:ドル円101円で売り注文
- 機関投資家B:ドル円103円で売り注文
- 大手金融機関:ドル円99円で売り注文
この場合、双方のトレーダーにとって有利になるのは「ドル円100円で買い注文」と「ドル円99円で売り注文」が約定した場合です。
- 買い注文を出したトレーダー→より安いレート
- 売り注文を出したトレーダー→より高いレート
で約定した方が有利になりますからね。
ECN方式では、双方の注文を出したトレーダー・機関がもっとも有利になる価格で注文が自動マッチングされます。
これが俗に言う「オークション形式」です。
この場合買値と売値の差額である1円がスプレッドになります。
STP方式は「一応」注文がブローカーを経由する
厳密にいうと、STP方式ではトレーダーの出した注文はブローカーを経由します。
STP方式はブローカーに届いた注文をブローカーがカバー先の金融機関とマッチングさせる仕組みです。
海外FXブローカーと提携している大手金融機関のこと。ブローカーに届いた注文の受け皿の役割を果たしてくれます。
(別名:LP、リクイデティプロバイダー)
ECN方式は注文が自動的にインターバンクに届きますが、STP方式が注文の行き先を操作していると考えた方がいいかもしれません。
ただNDD方式ということで「注文をどうやって処理するか」にブローカーの思惑は関係ありません。
カバー先のレートを考慮して、1番トレーダーが有利になるようなレートを提示しているカバー先に自動で注文を流すシステムです。
【STP方式の注文処理を詳しく解説】
(例)ドル円100円でトレーダーが買い注文を出した場合
- カバー先A「ドル円102円なら買い注文を受けますよ」
- カバー先B「ドル円104円なら買い注文を受けますよ」
- カバー先C「ドル円98円なら買い注文を受けますよ」
上でも説明したように、売り注文、買い注文それぞれの注文を出したトレーダー(機関)にとって都合がいいレートは以下の通り。
- 買い注文を出したトレーダー→より安いレート
- 売り注文を出したトレーダー→より高いレート
カバー先Cに注文を流せばトレーダーにとって有利な価格で約定しますね。
ブローカーはカバー先Cに注文を流すことになります。
ECN方式とSTP方式は目にみえてココが違う!
今まで説明したECN方式とSTP方式の違いは、言ってしまえばトレーダーの目に見えない部分です。
具体的にトレーダーが目に見えてわかる・取引してみて実感できるような違いが出るのは次の5項目になります
スプレッド | STP方式よりもECN方式の方が狭い |
---|---|
手数料 | STP方式は無料、ECN方式は手数料あり |
情報リソース | ECN方式は板情報が見れる、STP方式は見れない |
約定力 | 大ロットの注文、経済指標発表時に強いのはECN方式
取引量が少ない時に強いのはSTP方式 |
取引lot | ECN方式は1000通貨~、STP方式は10通貨~ |
取引コスト(スプレッド・取引手数料)
ECN方式とSTP方式で1番目に見えて違うのは取引にかかるコストの集め方です。
- ECN方式:スプレッド(低スプレッド)+取引手数料
- STP方式:スプレッドのみ(スプレッドやや広め)
上でも説明したようにECN方式はインターバンクで注文が自動的にマッチングされます。
純粋に注文を出したトレーダー・金融機関どうしの価格差がスプレッドになるので、スプレッドが狭くなるというわけです。
注文量が多い時にはスプレッド0で約定することも全然ありえます。
スプレッド自体に業者の取り分が含まれてないので、別で「手数料」を徴収しているのです。
ECN口座の取引手数料は「1lot(10万通貨)の売買あたり○ドル」という料金体系です。
例えば手数料が「1lotあたり10ドル」の場合、
- 1lotでエントリーした時
- 1lotの決済した時
それぞれで手数料が発生することになります。
つまり業者の公式HPに記載されている取引手数料「×2」分だけ支払わないといけないというわけです。
また当サイトではスプレッドと併せて「pips」で取引コストを把握できるように、ECN取引手数料をpips換算しています。
例えば「1lot(10万通貨、10万ドル)あたり10ドル」の場合、pips換算の計算式は以下の通りです。
10ドル÷10万ドル=0.0001ドル=0.1円=1.0pips(1.0銭)
上述のように取引手数料は2回徴収されるので、取引1回あたり「スプレッド+2.0pips」分の取引コストがかかることになります。
一方でSTP方式でブローカーがカバ先のレートを引っ張ってくる時には、レートに業者の取り分を上乗せしています。
トレーダーの注文:ドル円100円で買い注文
カバー先LPの提示レート:ドル円99円(売り)
普通に注文をマッチングさせたら注文の価格差1円がスプレッドになるが、それだと業者の取り分がなくなってしまうことになります。
トレーダーにドル円98円のレートを提示して、差し引き1円をブローカーの利益にする。
パッと見取引コストの体系は違うように見えますが、蓋をあけてみるとどちらも「売値と買値の価格差+業者の取り分」が取引コストになるというのは変わりません。
結局取引コストはECNとSTPどっちが安いの?
結論からいうと、海外FX全体の傾向としてECN口座の方が取引のトータルコストが安くなる傾向があります。
その証拠に管理人が全23口座をガチンコで調査・比較した海外FXスプレッドランキングではECN方式の口座が軒並み上位にランクインしました。
たとえスプレッドとは別に取引手数料が発生することになっても、元々のスプレッドが狭い分ECN口座の方がオトクに取引できるというわけですね。
取引コストを気にしてやまないスキャルピングメインで取引している方はECN方式の口座の中から取引口座を探すのがおすすめです。
→海外FXで絶品のECN口座に辿り着くまでの道標!スプレッドだけ見てもダメ!
情報リソース(板情報)
ECN方式では、自分が参加しているFX市場の様子を見ながら取引できます。
電子取引ネットワーク(インターバンク)に集った注文を板情報として参照することができるからです。
STP方式はブローカーの中で注文が処理されるので板情報を見ることはできません。
板情報からわかるのはどの価格帯にどのくらいに、どのくらいの注文が入っているか。
つまり「どのレートで指値・逆指値の注文を出しておけば約定されやすいか」がわかるということです。
また売り注文と買い注文の量がわかれば「今後価格がどっちに動きそうか」をある程度予想することもできます。
例えば、
売り注文のよりも買い注文の方が多い
→市場が『供給<需要』なので通貨ペアのレートが上がると予測できる
という風な感じになります。
もちろん板情報は1つの目安にしか過ぎませんが、取引の参考になる情報が増えて損はありません。
約定力
約定力に関しては一概に「こっちの注文方式の方が上回っている!」とは言い切れません。
取引するタイミングやlot数で得意分野が変わります。
取引する時間帯・タイミングで比較
注文量が少ない時間帯の約定力はSTP方式に分あります。
ECN方式はブローカーが関与しない完全な自動マッチング処理なので、インターバンクに反対注文が届かないといつまでたっても約定されません。
一方でSTP方式なら、バックに注文を受けてくれるカバー先のLPが控えています。
注文を受け取ってくれる機関が必ずいるということでECN方式よりも早く約定しやすいというわけです。
STP方式はもともとECN方式で「取引量が少ないからなかなか約定されない」のを補うために開発されたシステムだと言われているぞ。
約定されずにインターバンクで迷子になっている注文をブローカーのカバー先に流すことで、約定力を上げようという目論見だ。
ただ指標発表時など、トレーダーの注文量が多すぎる時にはECN方式が優勢。
注文の量が多すぎるとSTP方式ではブローカーの元に集った注文を捌ききれなくなってしまうので、約定が遅れてしまうことがあります。
ECN方式なら反対注文さえあれば自動でマッチングされるので、STP方式より早い約定が見込めるというわけです。
取引するlot数・ポジションサイズで比較
1lot(10万通貨)程度の取引なら、STP方式でもECN方式でも約定に差はでません。
自動マッチングであれ、カバー先とのマッチングであれサクサク約定します。
インターバンクに参加しているのは大口注文をバンバン出すようなヘッジファンドや機関投資家ばかりなので、取引量の敷居は高めに設定されています。
差が出るのは100万通貨(10lot)を超えるような大ポジションで取引する時です。
いくらトレーダーが注文を出しても、提携LPが反対注文を出してくれなければ最悪ブローカーが呑まないと約定されないことになります。
カバー先にとって「大きな注文を受ける」ということはリスクしかありませんからね。
一方で多くのヘッジファンド・機関投資家の注文が集まるインターバンクを通じて取引できるECN方式の方が大口の注文でもスグに約定できる可能性が高いといえるでしょう。
ECN方式とSTP方式でそれぞれどっちがおすすめ?
最後に今まで説明してきたECN方式のSTP方式の違いから、それぞれ「どっちを使ったほうがいいのか」おすすめの人をまとめました。
全体的にいうと、手数料を加味しながら「今利益が出てるのか」「今決済してもいいのか」を考えるのが億劫なら、無難にSTP方式で問題ないでしょう。
しかし「スプレッドとは別に手数料がかかる」というのがネックにならない人にとっては、ECN方式で取引した方がメリットが多いと言えます。
ECN方式の方がおすすめな人
- 取引コストを極限まで抑えたいスキャルピングトレーダー
- 市場の情報を参考にしながら取引したい方
- 100万通貨を超えるような大ロットで取引したい方
- 指標発表時などの取引注文が殺到する時間に取引する方
この4パターンに当てはまる方はECN方式の口座を使ってみるのがおすすめです。
ECN方式最大の特徴は何と言っても0.0pips~の極狭スプレッドで取引できること。
取引ごとに発生する手数料を加味してもSTP方式より取引コストを安く抑えることができます。
また注文はインターバンク直結でオークション形式でマッチングされるので、STP方式が苦手な「大ロット注文」や「取引注文が殺到する時」が得意分野です。
海外FXブローカーのECN口座スペック一覧
管理人が実際に利用してレビューしている海外FXブローカーの中でECN方式の口座が使えるのは、
- XM(ZERO口座)
- LAND-FX(ECN口座)
- Axiory(ナノスプレッド口座)
- TitanFX(ブレード口座)
- FBS(アンリミテッド口座)
の5ブローカーです。
- 単純に「スプレッド+手数料」の取引コストの安さにこだわり人→Axiory、TitanFX
- 未入金ボーナスでとりあえずECN取引を試してみたい人→XM、FBS
あたりをチェックしながら見てみてください。
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※FBSは取引手数料を徴収していません。かなりにスプレッドそのものが少し広めになるように設定されています。
海外FXのECN口座についての詳細かつ厳密な比較については、下記の記事を参考にしてください。
→海外FXで絶品のECN口座に辿り着くための道標!スプレッドだけで見てもダメ!
STP方式の方が「より」おすすめな人
- 1000通貨未満で取引したい方
- 取引量の少ない午前中に取引する方
「取引コストがスプレッドだけ」というシンプルさに加えて、小さな注文も受け付けてくれるのがSTP方式。
エントリーするポジションがそれほど大きくないなら、注文はサクサク約定します。
またLP(リクイデティプロバイダ)とカバー先として提携しているのもポイントです。
ECN方式では約定が遅くなってしまう恐れがある午前中など、取引量が少ない時間でも注文が決済されやすくなります。
海外FXブローカーのSTP口座一覧
STPタイプの口座が使えるのは次の6ブローカーです。
- XM
- LAND-FX
- Axiory
- TitanFX
- FBS
- TradersTrust
1000通貨未満の取引がメインだということで新しくSTP口座を開設するならXMのマイクロ口座かFBSのセント口座に絞られます。
それ以外の要素で特徴をザックリ言うとすれば
- ハイレバ×ボーナスで資金効率抜群のデイトレード→XM、FBS
- STP方式の中でも取引コストを安く抑えたい人→LANDFX、Axiory、TitanFX
あたりを見てみてください。
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